【塩基性カラーの特徴】カラートリートメントの特徴や使い所、メリットなどを美容師が徹底解説
「塩基性カラー」ってご存知ですか?塩基性カラーとは、普通には聞き慣れないヘアカラーですが、一般的なドラッグストアなどでも購入できるカラートリートメント」の正式な名称を「塩基性カラー」といいます。
前回の記事ではヘアマニキュアの特徴をお伝えしました。ジアミンのないカラー剤でアレルギーのある人への需要が高いカラー剤です、興味のある人は合わせて参考にしてみてください。
そんなヘアマニキュアと類似している薬剤に「塩基性染料」を使用したカラー剤があります。
カラートリートメントでは、美容室専売だけでなく、一般市場でも販売されるようになっており、さまざまな人が使いやすいヘアカラーの1種になっています。
ヘアカラー剤は大きく分けると「永久染毛剤のアルカリカラー」と、「半永久染毛剤のマニキュアやカラートリートメント」に分類されます。
当記事では、ヘアカラー剤の種類の1つである塩基性カラーについて、分かりやすくお話します。
塩基性カラーは「塩基性染料」と「HC染料」に分類される
まずは塩基性カラーの特徴についてお話します。
塩基性カラーというのは「塩基性染料」と「HC染料」を使用していることが特徴になります。
分子が大きく髪の内側には浸透せず、髪表面に付着してイオン結合することで色を付けることができます。
アルカリカラーはジアミンなどが配合されている通常のヘアカラーに使われるもので、反対に半永久染毛剤はマニキュアなどの酸性染料と言われるダメージが少ない(ほぼない)というヘアカラー剤になっています。
ジアミンは正式にはパラフェニレンジアミンという成分になっていて、下記事では、アレルギーと合わせて原因や対策も具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「+(ぷらす)」電子を帯びており、髪が「-(まいなす)」の電子を帯びている状態、つまり髪の状態がアルカリに傾いているほど、染まりが良くなります。
塩基性染料だけでは、色数が少ないため、HC染料のようにさまざまな色合いを出せないのがデメリットにはなりますが、ジアミンフリーなのは、とても嬉しいはずです。
健康な髪のpHは、4.5~5.5の弱酸性です。 ヘアカラーやパーマをすることで髪はアルカリに傾いていきます。
下記事では、 pHの特徴や関連性なども具体的に解説しています
「塩基性染料」について
塩基性染料とは、2001年の国の規制緩和で使用できるようになった染料のことです。
塩基性染料も酸性染料と同じように、分子が大きくプラスの電荷を持ち、毛髪表面のマイナスの電荷とイオン結合することによって、色が定着するようになっています。
毛髪内部までの浸透はしないのでヘアカラーに比べて、格段に色持ちが下がってしまうのがデメリットです。
さらに化学反応も起こさないために、髪や頭皮に負担はないものの染料の染着は髪の表面のみとなります。
「HC染料」について
HC染料は2001年4月の化粧品規制緩和により、 新たに使用可能となったヘアカラー用の原料のことです。
ヘアマニキュアやカラートリートメントだけでなく、口紅などの化粧品で利用されている染料です。
電荷を持っていないためイオン結合ができないが、分子が小さいために毛髪の内部まで染着します。
昔から多用されている「タール系色素」(赤色○号や青色○号などと標記されている旧法定色素)に比べ、 分子量が小さいという特徴があります。
同じく分子量が小さい天然ヘナの色素とも容易に吸着し、重合する形でキューティクルの間に浸透するので、髪を傷めずに色相を維持できます。
このHC染料というのは酸性染毛剤の色のサポートに含まれています。HC染料についてはさらに詳細に解説している記事も用意していますので、ぜひご覧ください。
全てのカラー剤をグラフにするとこのような感じになります。
脱色剤 | 酸化染毛剤 | 酸性染毛剤 | |
---|---|---|---|
一般名称 | ・パウダーブリーチ・ライトナー | ・アルカリカラー・中性カラー | ・酸性カラー・塩基性カラー |
分類 | ・医薬部外品・脱色剤 | ・医薬部外品・永久染毛剤 | ・化粧品・半永久染毛剤 |
原理 | メラニンを壊し(脱色)、髪の明度を上げるという事に特化しています。 | メラニンを壊し(脱色)、明度を上げつつ酸化染料が毛髪内部で酸化重合して発色します。 | 酸性色素がキューティクル付近でイオン結合し、着色します。 |
「マニキュア」と「カラートリートメント」の違い
ここまでの特徴ならば、マニキュアとカラートリートメントとの違いが分かりづらいので、それぞれの違いについてもお話します。
そもそもの染料が違うということです。
マニキュアは「酸性染料」、カラートリートメントは「塩基性染料」です。
- 施術時間
- HC染料の濃さ
- 自分でできるのが「カラートリートメント」
- 美容室でするのが「マニキュア」
このような違いがあります。
大きな違いは「施術時間」
主に、カラートリートメントとマニキュアでは施術時間が大きく違います。 塩基性染料が多く配合されているのがカラートリートメントで、HC染料が多く配合されているのがマニキュアです。
塩基性染料は短時間でも表面に染色するので、自分でも容易にすることができます。
マニキュアの場合は、酸性染料は時間がかかる上に頭皮に薬剤がつくと、地肌にも染着してしまうので、地肌にはつかないように美容師にしてもらう必要があるのです。
もちろんデメリットだけでなく、カラートリートメントに比べて格段に色持ちが良かったり、内部まで染料が入るので手触りなども良いという違いがあります。
目次に戻る塩基性カラーのメリットとデメリット
塩基性カラーのメリットとデメリットについてもお話します。
あなたの髪や頭皮の状態に合わせて使い分けてくださいね。
塩基性カラー(カラートリートメント)は、塩基性染料+HC染料で配合されています。
普通のヘアカラーやマニキュアとの特徴を見分けて、髪質や色によって使い分ける必要があるのです。
通常のアルカリカラーやマニキュアと比較して、塩基性カラーのメリットとデメリットについてもお話します。
塩基性カラーのメリット
塩基性染料はトリートメントに配合していることが多く、カラートリートメントをすることによってアルカリカラーやマニキュアに比べると、手触りの良い仕上がりになります。
- 自宅で気軽にできる
- ブリーチカラーのメンテナンス
- サクッと済ませることができる
- カラーとトリートメントを同時にすることができる
アルカリカラーよりも髪のダメージが全くなくて、トリートメント中心の構成のために毛先のツヤやハリコシを出すこともできます。
さらにブリーチカラーのメンテナンスにも使えます。
絵の具やペンキのような、ビビットなヘアカラーをしたい時にも塩基性カラーはおすすめ。
HC染料が高彩度の色を表現してくれ、アルカリカラーに比べてより光沢のある髪色をつくることができます。
具体的にいうと、原色を表現するブリーチカラーです。下記事ではブリーチカラーについてを実際に施術したスタイルでご紹介しているので、興味があればご参考ください。
キレイなヘアカラーをつくることができるブリーチカラーのデメリットは「色持ちの悪さ」。
それを補うことができるのがカラートリートメントやシャンプーの塩基性カラーです。
髪や頭皮に負担なくできる上に、自宅でもサクッと済ませることができるのは大きなメリットの1つです。
さらにジアミンアレルギーによる身体への不安が一切なく染めれるのは、アルカリカラーとの差別化になります。
安心して、ヘアアカラーができるのが塩基性カラーの最大のメリットとなります。
応用編として、アルカリカラーで脱色・染色した後に、塩基性カラーの同系列やクリア剤や同系色を使用することで、色の持ちがより良くなります。
塩基性カラーのデメリット
塩基性カラーのデメリットでは、単体では効果が薄いことにあります。
基本的な使い方としては、ヘアカラーやマニキュアカラーの色持ちや調整などに用います。
そのため、髪や頭皮に負担はないもの、ヘアカラーとしての効果や効力は力不足なのです。
- 色持ちが良くないため頻度が多くしないといけない
- 白髪の染まりはあまりよくない
- カラーとトリートメントなのでどちらも中途半端
というものがあげられます。
カラーやトリートメントの良い部分をいいとこ取りしたようなアイテムなので、中途半端になることは想像できますよね。
もちろん悪いわけではありませんが、ヘアカラーのメインで「塩基性カラーを使う」といったような使い方はできないので、そこはデメリットとなります。
あとがき
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご質問やご感想は、以下までお寄せください。