美容師が教える頭皮・地肌の基礎知識
美容師が教える「頭皮・地肌」の基礎知識
美容師として髪(毛髪)や頭皮(地肌)について一般の人に比べると、専門的なことまで熟知しております。
というのも、髪をキレイにするためには、やはりキレイにする髪のことを知っておく必要があると考えているからです。
髪をキレイにするためには、まずは髪のことも大事ですが、髪をつくる土台でもある頭皮を知るのも髪のキレイに繋がるのです。
そこで当記事では、頭皮(地肌)の基礎知識について分かりやすくお話します。
- 頭皮の基礎や機構
- 頭皮のメカニズムや脱毛
など、頭皮についての基本的なことをお伝えしていきます。
頭皮の「基礎」について
まずは、頭皮の仕組みについて知りましょう。頭皮は、あなたが思っているよりもデリケートな部分です。
頭皮は、
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
この3つで構成されており、汗腺・皮脂線、毛髪および・毛包、毛包は頭皮の付属器官であると言われています。
外的刺激からの防御作用を担っており、表皮の角質層が主たる役割を果たしています。
真皮は、弾力性に富んでおり、外部からの力を緩和する役割を果たしています。表皮とともに外的刺激からの防御作用を担っているのも真皮の役割です。
皮下組織には、断熱効果があり外部からの熱をさえぎる役割を果たしています。
- 汗腺(エクリン腺と、アポクリン腺があります。前者は発汗により体温を調整する役割を果たしていますが、後者の役割はよく分かっていません)
- 皮脂線(皮脂線を形成する皮脂を分泌する役割を果たしています。※皮膚の表面に存在しています)
- 毛包(髪を生み出す重要な器官です。※毛球部も含めた、毛髪を作り出す部位の総称)
さらに、地肌の中にある毛根と呼ばれる部分では、このような構成になっております
- 毛乳頭細胞(髪が生み出されるために必要な指令を、毛母細胞に発信する役割を担う細胞です)
- 毛母細胞(髪のもとになる細胞です)
- 色素形成細胞(髪に色を付与するメラニン色素を作り出している細胞です)
このような毛根は頭皮によって守られて生成されているのです。
目次に戻る頭皮の「代謝機構」について
頭皮には「代謝機構」という機能があります。頭皮にも、代謝を古いものから新しいものを入れ替えるサイクルというものがあるのです!
①表皮の角化
表皮の基底層で分裂した細胞が、有棘層➔顆粒層➔角質層へと移動する事で頭皮の代謝は進みます。
基底層から角質層に至り、剥がれ落ちるまでの一連の過程を「角化」と呼びます。
通常、基底層から剥がれ落ちるまで「約28日間」かかりこの周期をターンオーバーと呼びます。
睡眠不足などによる生活の不規則化、ストレスや季節の変わり目などで発生しやすい皮脂の過剰分泌や頭皮の乾燥が原因となって、ターンオーバーが乱れその結果として異常角化となりフケが発生しやすくなるので注意が必要です。
②頭皮の皮脂
皮脂は皮脂線から分泌され、その皮脂の分泌量は年齢・性別・季節などによって変化しますが「全身で1日当たり約1〜2g」と言われています。
頭皮の皮脂線は体の中で一番大きく、たくさんの皮脂が分泌されます。
皮脂の分泌量が少なすぎると、頭皮が乾燥しやすくなり、多すぎると毛穴が詰まりやすくなります。
その結果、フケを生じさせたり頭皮のベタつきを招いたりします。
皮脂は、紫外線により過酸化脂質に変化し、また皮膚に存在する菌、皮膚常在菌により、遊離脂肪酸に変化します。過酸化脂質の蓄積は炎症を招き、脱毛の一因となる事が知られています。
- 分泌量は女性より男性のほうが多い
- 20歳前後でピークに達し、加齢に伴い減少する
- 女性は急激に減少するが、男性は緩やかに減少する
- 気温が高くなると分泌量は多くなる
頭皮の「状態」について
頭皮も地肌状態がタイプ別に分かれています。
それによって頭皮の症状も変わってきます!自分の頭皮を見極めて頭皮のケアを始めましょう!
種類 | 正常な頭皮 |
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頭皮の状態 | 皮脂の分泌量が正常で、頭皮の色は青白く透明感があります。頭皮が荒れた状態も見られず、毛穴もキレイです |
種類 | 乾燥頭皮 |
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頭皮の状態 | 皮脂の分泌量が少なく、頭皮は乾燥しています。乾燥頭皮の人は、粉っぽいフケやかゆみなどの悩みを抱えている人が多いです。頭皮の色は、くすんでいる場合や、やや赤み、がかっている場合があります。 |
種類 | 脂性頭皮 |
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頭皮の状態 | 皮膚の分泌量が多く、頭皮が脂っぽくなっています。脂性頭皮の人は、脂っぽいフケや頭皮のべたつき、においなどの悩みを抱えています。頭皮の色はくすんでいて、やや赤み、がかっている場合があります。 |
種類 | 正常な頭皮 | 乾燥頭皮 | 脂性頭皮 |
---|---|---|---|
性別 | ー | 女性に多い | 男性に多い |
季節 | ー | 冬季に増加傾向 | 夏季に増加傾向 |
20代における比率 | 約60% | 約35% | 約5% |
50代における比率 | 約60% | 約50% | 約1% |
「毎日のシャンプー習慣」と「頭皮の乾燥」の深い関係
日本人と欧米人の頭皮を比較すると、日本人の頭皮は刺激に対し敏感で、乾燥しやすい傾向にあります。
これは、欧米人に比べて頻繁に髪を洗う日本人のシャンプー習慣と関係があります。
頭皮の最大層には厚さ約20μの角質層があり、生体防御器官として雑菌の侵入や水分の蒸散を防ぐ役割を担っています
角質層は、表層、中層、下層の3層構造になっていますが、シャンプー頻度の高さから日本人の表層〜中層は剥がれやすくなっています。
3層構造を保持している欧米人に比べ、日本人の角質は下層部分しか残っていないため、デリケートで乾燥しやすくなっています。
目次に戻る頭皮と髪の「再生メカニズム」について
頭皮と髪の関係性についてもお話します。頭皮とは、髪を健やかに育てるいわば髪の土台となるものです。
①ヘアサイクル
毛髪の伸びる速さは体調や栄養状態、年齢などによって変わりますが、約10万本ある人の毛髪は、1日にやく0、35㎜、1ヶ月で約10㎜成長すると言われています。
髪は一生伸び続けるわけではなく、「成長期」→「退行期」→「休止期」という周期を繰り返します。
髪と毛包は皮膚から変化したものになり、最初にこれらが形成されるのは受精後60日前後の胎児のような段階になります。
この時期に表皮と真皮の相互作用により、毛乳頭細胞、毛母細胞を含む毛包と毛髪が順に形成されます。
この時に形成さた毛包の数は生涯を通じて変化する事はありません。出生後の毛髪は、ヘアサイクルが回転するたびに同様の相互作用が起こることから、毛髪や毛包が再生されていると考える事ができます。
②脱毛
脱毛には生理的に起こる自然脱毛と、病的に起こる異常脱毛があります。
自然脱毛の場合は、正常なヘアサイクルにより休止期を迎えて、コーミングやシャンプーなどの軽い力で1日に50〜100本程度の毛髪が抜け落ちると言われています。
異常脱毛の場合はさまざまな原因による症状があり、よく知られているものとして、壮年性脱毛症、産後の脱毛症、脂漏性脱毛症、ダイエットによる脱毛症、円形脱毛症などがあります。
目次に戻る主な「異常脱毛」の種類について
頭皮トラブルには異常脱毛というものがあります。
異常脱毛は、薄毛や抜け毛の現象になります!どういうものがあるのかを知りましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
壮年性脱毛症 | 青年期や壮年期の一部の男性で前頭部や頭頂部の髪が薄くなります。毛包が消失して髪が薄くなるのではなく、ヘアサイクルの成長期が短くなり、毛髪が細く、短くなる事で、薄くなっていきます。 |
産後脱毛症 | 出産後の女性の抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりします。妊娠中は女性ホルモンの影響により、本来ならば成長期を過ぎて抜け落ちるはずの毛髪が成長し続けます。しかし、出産後に女性ホルモンのバランスが元に戻り、それまで生え続けていた毛髪が抜け落ちる事で、抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりします。個人差はありますが、半年〜1年程で徐々に回復します。 |
脂漏性脱毛症 | 毛穴の詰まりや雑菌の繁殖により、毛髪が抜け落ちます。皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まることが原因であると言われています。 |
円形脱毛症 | ある日突然、毛髪が抜け落ち、10円玉程度の円形の脱毛を招きます。脱毛の部位は1箇所の場合もあれば、数箇所同時に発生する場合もあります。自律神経の異常、自己免疫説、ストレスなどの原因が考えられますが詳しい事は分かっていません。 |
ダイエットによる脱毛症 | 極端なダイエットにより抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりします。毛髪の成長に必要な栄養が不足してしまうことが原因であると言われています。 |
髪と関連の深い栄養素
通常、食事が原因となって脱毛を招くことはありませんが、極端に欠乏すると脱毛を招くと言われいる栄養素があります。
その代表例が亜鉛です。亜鉛は皮膚や毛髪の生成に重要な役割を果たしている栄養素で、点滴のみで栄養を管理されている人や極端な食事制限を受けている乳幼児などで、亜鉛欠乏による脱毛が見られる事があります。
その他、ビタミンAやビタミンB群などが極端に欠乏した時にも脱毛を招く事があります。
栄養素 | 含まれる食材 |
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亜鉛 | 牡蠣、かずのこ、ひじき、のり、きなこ、みそ、豆腐など |
ビタミンA | なぎ、にら、人参、かぼちゃ、緑黄色野菜など |
ビタミンB群 | 納豆、レバー、セロリ、ほうれん草、小松菜など |
あとがき
頭皮の知識についてまとめてみましたが、いかがでしたか?頭皮にはさまざまなことがあります、それは役割や目的などたくさんのことがあるのです!
- 頭皮の基礎
- 頭皮の代謝機構
- 頭皮の様々な状態
- 頭皮のメカニズム
- 頭皮と脱毛の種類について
以上の5つから頭皮の基礎が成り立ちます。冒頭でもお伝えしましたが、髪をキレイにするためには、まずは髪をつくる土台になる頭皮からが重要になります。
そのためには、頭皮のことを知る必要があります。