美容師がヘアサイクル(毛周期)のメカニズムについて解説
髪というのは無限に生え続けるわけではなく、人間の髪は、一定の周期で生え替わっています。
「なんか最近、髪の調子が悪くなってきた…」
と、感じてしまったことはありませんか?
もしかしたら、その原因はこの周期が乱れているからかもしれません。
当記事では、髪の周期とも呼ばれるヘアサイクルについて、わかりやすくお話します。
「ヘアサイクル(毛周期)」ってなに?
髪が生え変わっていく周期についてお話します。髪の基本となることなので、知って置いて損はないですよ。
髪が成長して抜けていく周期のことを「ヘアサイクル(毛周期)」と言います。髪というのは、常に成長し、古くなると抜け、そしてまた新しい髪が生えてきます。
このそれぞれの期間のことを、ヘアサイクルでは「成長期・退行期・休止期」の3つの段階に分けます。
- 髪が成長する「成長期」
- 髪の成長が減速する「退行期」
- 髪が抜け落ちる「休止期」
ざっくりまとめるとこんな感じです。つまり、髪が抜けていくというのは自然現象なのです。
とはいえ、髪が毎日抜けていると不安に感じる方もいてます。
しかし、髪というのは毎日抜けていくものです。
1日に抜ける髪はおよそ50~100本前後の髪が抜けては、また生えてくるのです。
これがヘアサイクルというわけです。
では、それぞれ周期について、具体的にお話します。
ヘアサイクル①「成長期」
- 期間は約2〜6年
- 毛母細胞がたくさん分裂する
- 髪全体の80〜90%が成長期
まず、成長期に毛根が成長し、新しい髪が生えます。2〜6年ほど成長し続けます。通常であれば、全体の80〜90%成長期の髪となります。
つまり、ヘアサイクルの乱れというのは、この「成長期が短くなること」を指します。
成長期が短くなると、髪の成長が途中で止まってしまい、十分な髪に成長しないまま、次の退行期に移行してしまいます。
これが、「最近、髪が細くなってきた気がする…」という細毛や、エイジング毛になってししまう原因にもなります。
ヘアサイクル②「退行期」
- 期間は約2週間
- 急激に毛母細胞の分裂が少なくなる
- 色素の活動も弱まる
退行期は毛根がだんだんと小さくなっていき、髪を成長させる活動が鈍くなっていく段階です。
およそ2週間ほどで完全に毛根が働かなくなり、髪の成長が止まって休止期にはいっていきます。
ヘアサイクル③「休止期」
- 期間は3〜4ヶ月
- 毛母細胞の分裂が完全に止まる
- 古い髪が抜けていく
休止期は髪の成長がとまり、毛根が眠っている状態です。およそ3~4ヶ月ほどで再び成長期に入ります。
休止期の髪は成長期で新しく生えてきた髪に押されたり、シャンプーや髪をとかすなどの日常生活の中で自然に抜け落ちていきます。
特徴 | |
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成長期 | 成長期に毛根が成長し、新しい髪が生えます。2〜6年ほど成長し続けます。 |
退行期 | 退行期は毛根がだんだんと小さくなっていき、髪を成長させる活動が鈍くなっていく段階です。 |
休止期 | 休止期は髪の成長がとまり、毛根が眠っている状態です。 およそ3~4ヶ月ほどで再び成長期に入ります。 |
なぜ、「ヘアサイクル」が乱れるのか?
では、なぜヘアサイクルが短くなってしまうのでしょうか?
髪だけでなく、カラダ全体に原因があるので、一緒にケアをしていきましょう!
例えば、薄毛や細毛で悩まれている人には、正常な頭皮のヘアサイクルと比べると、成長期が短いという現象が見られます。
この現象が薄毛となる原因になります。
正常なヘアサイクルの成長期は2~6年ですが、ヘアサイクルが乱れている場合は、2年もしくはそれよりも短くなってしまっている可能性があるために、髪が十分に成長できていない状態になります。
通常より早く退行期・休止期に移行し、毛根が小さい状態が続き、細毛、抜け毛、薄毛が増えていくのです。
ヘアサイクルが短くなる原因は?
主な原因としては、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの影響です。
ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性ホルモンであるテストステロンが、さまざまな要因によってジヒドロテストステロンに変換されます。
悪玉になってしまう原因が酵素でもある「5αリダクターゼ」という物質です。
5αリダクターゼには2種類ある
5αリダクターゼには1型と2型の2種類があり特徴が異なります。
- 1型は側頭部や後頭部の皮脂腺に多く存在している
- 2型は前頭部や頭頂部の毛乳頭に多く存在している
この5αリダクターゼは、テストステロンと結びつくことによってジヒドロテストステロンに変化します。
そして、女性も男性に比べて量は少ないものの男性ホルモンを持っています。
女性ホルモンは、髪を成長させる役割があります。これは成長期を長くする効果があるということです。
髪を成長させる役割を持つエストロゲンの量が減ることにより、相対的に男性ホルモンが過多になり、髪の成長を妨げます。
そして、ジヒドロテストロンは髪の成長期を短くしたり、止めたりして、ヘアサイクルを短くする原因にもなります。
5αリダクターゼの増加や、女性ホルモンの減少には以下の原因があります。
- 生活習慣の乱れ
- 睡眠不足
- 喫煙や過度の飲酒
- ストレス
- 偏った食生活
これら生活習慣の乱れは、血行不良を導き、髪に栄養が充分に行かなくなってしまうということも招いてしまいます。
まずは、生活習慣の改善を心がけましょう
ヘアサイクルに関する正しい知識を身につけて、ヘアサイクル改善に向けた対策を行いましょう。
目次に戻るあとがき
へアサイクルとは目に見えにくいことなので、まずは自分の生活習慣を見直すようにしましょう。
一緒に髪に使っているシャンプーなども見直すことで今ある髪もキレイになっていきますよ。
ヘアサイクルによって髪は大きく変化します。
「何か最近、髪の抜け毛が気になるんだよね…」
ってときは、もしかしたらヘアサイクルに問題があるのかもしれません。
生活習慣の見直しや、髪へのアイテムを変えたり、さまざまな工夫をしてあげると、髪はいつまでもキレイな状態になります。
まずは、気づいたらすぐケアをしていくことが重要になります。
遅すぎるということはあっても、早すぎるということはケアにはありません。
髪のキレイのために、さまざまなケアを始めていきましょう。