パーマの基本理論!流れと役割について解説
パーマを初めてする人に向けて基本的な知識をお話します、というのもパーマは種類だけでなく、さまざまなスタイルがあり、それなりに理解する(もしくは美容師との相当な意思疎通している)必要のあるメニューです。
それだけでなく、回数が増えてくると、髪への負担も大きくなります。
ある程度の知識をつけて、自分に似合うパーマを作るようにしましょう。
- パーマってどんな風にするの?
- パーマのプロセス(一連の流れ)を知りたい!
こういった疑問にも合わせてお答えしていきます。
パーマの基本的な知識の解説
これからパーマを習うっていう美容師や、パーマをかけようか悩んでいるって人に向けてパーマのことを分かりやすくお話します。
パーマは自分ですることができない分、知らないという人がヘアカラーに比べて多くなっています。
そこで当記事では、パーマの理論について初心者にも分かりやすく紹介していきます。
パーマについての基本的なこと
まずはパーマの基本的なことを知っていきましょう。
実は、パーマってとても便利で素晴らしいメニューの1つなんです。
少し専門的になりますが、カットでヘアスタイルをつくるときには、引き算でつくることがベースとなります。増やすことはできませんからね。
ですが、唯一足し算になるのがパーマです、パーマにはカットだけではできないことがたくさんできます。
例えば、
- ボリュームをつくる
- 動きをつくる
- ウェーブをつくる
こんなことができるメニューです。
パーマには毛髪にウェーブを与えるパーマネントウェーブと毛髪をストレートにする縮毛矯正の2種類があります。
- パーマネントウェーブ
- ストレートパーマ(縮毛矯正)
両方とも「パーマ」と入っていますが、内容は全く違います。
ややこしいのが、この2種類は「全く違う仕上がり」なのにで「原理は同じ」なところです。
どちらにも「パーマ」がついていますが、動きがつくようなウェーブやカールをつける技術はパーマネントウェーブといいます。
パーマにとって重要となる「髪の結合」
- シスチン結合(SS結合)
- イオン結合
- 水素結合
- ペプチド結合
などの結合を持っています。
これらの結合のうち、シスチン結合というものはパーマではとても重要な役割を担っています。
パーマの原理
パーマの基本原理は、1剤の還元作用でシスチン結合を切断し、2剤の酸化作用で切断されたシスチン結合を再結合するという事です。
毛髪の4つの結合
- 「シスチン結合」…ケラチンタンパク質に特有の強い結合です。還元剤で切断され、酸化剤でもとの結合に戻ります。
- 「イオン結合」…プラスの性質とマイナスの性質で引き合う結合です。
- 「水素結合」…水によって切断され、乾燥させると再結合する結合です。
- 「ペプチド結合」…アミノ酸同士をつなげ、タンパク質をつくる結合です。
パーマ液の「1剤」の特徴
1剤は「還元剤」「アルカリ剤(薬剤による)」とも呼ばれます。還元剤・アルカリ剤の役割は髪のシスチン結合を切断します。
この1剤のコントロールによってかかり具合を調整するので非常に重要なポイントになります。
パーマネントウェーブ剤や、縮毛矯正剤で使用される還元剤には、チオグリコール酸やシステインなどがあります。
- 「チオグリコール酸」…シスチン結合を切断するスピードが速い。くっきりとしたウェーブを得る事ができます。
- 「システイン」…シスチン結合を切断するスピードが遅い。ゆるやかなウェーブを得る事ができます。
アルカリ剤の特徴
アルカリ剤は毛髪を膨潤させ、還元剤の働きを高めます。パーマネントウェーブ用剤や縮毛矯正剤で使用されるアルカリ剤には、アンモニア水、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウムなどがあります。
種類 | 特徴 |
---|---|
アンモニア水 | 揮発性のアルカリ剤で、刺激臭があります。最初はアルカリ剤として強く働きますが、時間の経過とともに徐々に揮発するために、アルカリ剤としての働きが弱まります。そのために、オーバータイムを起こしにくい傾向にあります。 |
モノエタノールアミン | 不揮発性のアルカリ剤でにおいは少ないですが、アルカリ剤として強く働きます。毛髪に対する親和性が強いため、中間水洗を入念に行う必要があります。 |
炭酸水素アンモニウム | 弱い刺激臭のあるアルカリ剤です。アルカリ剤としての作用は弱く、他のアルカリ剤と組み合わせて使用されます。 |
パーマ剤の「2剤」の特徴
2剤は「酸化剤」とも呼ばれます。酸化剤は1剤で切断されたシスチン結合を再結合させる役割です。
パーマ用の薬剤や、縮毛矯正剤で使用される酸化剤には臭素酸ナトリウム、過酸化水素などがあります。
2剤の放置時間によってパーマの質感が変わるのでこちらも非常に重要となります。
主な酸化剤と特徴
種類 | 特徴 |
---|---|
臭素酸ナトリウム | 酸化力が弱いため、ある程度の放置時間が必要です。しっとりとした質感を得る事ができます。 |
過酸化水素 | 酸化力が強いため、放置時間が短くすみます。軽い質感を得る事ができます。 |
パーマの施術プロセスの流れ
次に、パーマ施術の一連の流れをお伝えしていきます。
初めてパーマをかけるという方は参考にしてくださいね。
ここからは美容師にも役に立つように専門的な知識も付け加えてお伝えしていきます。
① | 事前シャンプー
パーマ前の事前シャンプーの目的は、薬剤の浸透をさまたげる毛髪の汚れを取り除く事です。ある程度の汚れを落としてからのパーマをしましょう。
② | 事前処理
事前処理とはパーマのダメージを想定して前もってヘアケア・髪の保護をすることです。
事前処理の目的は、髪のダメージ部分に必要な成分を補いダメージを抑えながらキレイなウェーブを形成する補助をするという事です。
③ | ワインディング(パーマの場合)
ワインディング時に髪に無理なテンションをかけると、髪を傷める原因になります。
これは、テンションをかける事で1剤の浸透性が高くなり、オーバータイムを起こします。
カットの削ぎが多い場合は、毛折れの原因となりやすいので、なるべくつくらないようにペーパーを毛先だけでなく中間部分から巻き収め部分まで使用しキレイにワインディングをします。
④ | 1剤の薬剤選定
髪を傷めずにウェーブやストレートにするためには、ダメージレベルに合った薬剤を選定する必要があります。
一般的なパーマ剤の場合、ダメージレベルの大きな髪には「シス系」、ダメージレベルの小さな毛髪には「チオ系」を使用します。
1剤の還元反応は徐々に進行し、その還元スピードは健康毛よりもダメージ毛の方が早くなります。ダメージ毛において、キレイにパーマがかかってチリつかない最適な軟化率を100%とした場合、ダメージレベルに合わせた薬剤の選定とタイムコントールが必要となります。
ダメージ毛の場合、チオ系は軟化スピードが早いため、短時間の軟化でしっかりとしたウェーブが得られますが、オーバータイムを起こしやすい傾向にあります。
一方、シス系は軟化スピードが遅いため、充分な軟化のためにある程度の時間が必要ですが、オーバータイムをおこしにくい傾向があります。
「還元力の強い薬剤を使用して、短い時間で施術する場合」と「還元力の弱い薬剤を使用して長い時間で施術する場合」では、どちらが毛髪のダメージが少ないでしょうか?オーバータイムさせなければどちらも差はありません、しかし質感の差がでるのでヘアスタイルと髪質によって使い分けていきましょう!
⑤ | 1剤塗布
パーマネントウェーブ用剤の場合、1剤のつけムラがないようにロッド1本づつ丁寧に塗布していきます。
縮毛矯正剤の場合は、新生毛と毛髪のダメージ部の両方を均一に軟化させるため、薬剤や時間差で塗り分けを行います。
⑥ | 放置時間
放置タイム中に毛髪が乾燥すると、1剤の反応が鈍くなりキレイなウェーブやストレートにならない場合があります。
そのためラップで包んだり、水分補給をする事で毛髪が乾燥しないようにします。軟化のスピードや程度は、髪質やダメージのレベルによって異なります。最適な軟化状態を見極めるためには、まめに軟化チェックを行う事が大切です。
⑦ | 中間水洗
中間水洗は、1剤に含まれる還元剤とアルカリ剤を除去するために行います。中間水洗を行う事で、この後の2剤に含まれる酸化剤がしっかりと作用して、ダメージの少ない仕上がりになります。
⑧ | アイロン処理(縮毛矯正の場合)
アイロンの処理方法により、縮毛矯正効果やダメージは大きく変化します。従って、アイロン処理が毛髪に与える影響を理解し、髪質やダメージレベル、求めるデザインに合わせた技術を選択します。
またアイロン処理には、コームやツインブラシなどを使用して、毛髪同士のからまりを取り除き、方向を整えながら施術する事が重要です。
毛髪同士が交差した状態でアイロン処理を進めると、交差した部分が押しつぶされ、毛髪を傷める原因になります。
- 100%ドライ状態にする
- アイロン前にブローなどもおすすめです
- アイロンの温度を低温する(160度以下)
- アイロン操作をプレス処理ではなく、スルー処理にする。
⑨ | 2剤塗布
2剤の役割は、1剤で切断されたシスチン結合を再結合する事です。
2剤を充分作用させないと、目指す形状に固定する事ができません。
パーマネントウェーブ用剤の場合、薬剤のつけムラがないようロッドの一本づつ丁寧に薬剤を塗布します。また、1回で全量を塗布するのではなく、2回に分けて塗布した方が、2剤の作用が促進されるため、ウェーブ形成力が高くなります。
縮毛矯正剤の場合、アイロン処理後の毛髪は乾燥しているので、つけムラができないように2剤をまんべんなく塗布する事が重要です。
⑩ | お流し
お流しは2剤に含まれる酸化剤を除去するために行います。
毛髪に酸化剤が残ると変色やダメージに繋がります。仕上げを急ぐあまりに簡単に済ませないようにしましょう。
目次に戻るあとがき
パーマのことは大体理解できたでしょうか?
今回のパーマはコールドパーマと言いますが、その他にもホットパーマも魅力的なパーマですよ。
1液の放置時間は何分おく?
回答を見る
髪の状態にもよりますが、5〜20分程度がセオリーになります。ダメージがあればあるほど浸透力も高いため短くなりやすいです。
2液の放置時間は?
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使う薬剤、「臭素酸ナトリウム」か「過酸化水素」によって変わります。どちらにしても5〜20分以内の変動で、1回付けや2回付けなども調整します。
今回ご紹介しているのはコールドパーマと呼ばれる普通のパーマですが、その他にもホットパーマというのがあります。
とくに「デジタルパーマ」や「エアウェーブパーマ」というのが有名どころなパーマでもあるし、おすすめなパーマです。
パーマの施術後は髪の成分が流出しやすくなっていたり、パーマによってダメージになっていたりと、とてもデリケートな状態になっています。
パーマの後は、ヘアトリートメントで髪に必要な成分を補ったり、ヘアケアを意識してあげましょう。
こんな感じ以上です。